タイトorルースな相手に対するボードストラクチャー別CB戦略のアジャストについて(補足)
「オフィシャルブログ」って良い響きですよね。
そもそも、「アンオフィシャル」が出てくる恐れを危惧しての「オフィシャル」公言じゃないですか。
そうそうの知名度じゃ、自分で「オフィシャル」名乗れないですよ。
あ~いつか「オフィシャル」名乗りてえなあ。
おさらい
前回は、BTNvsBB(2betpot)において、BBがタイトorルースな時のBTNのCB戦略のアジャスト結果をまとめました。
結論としては、こんな感じでした。
1.ペアボードについて
・標準的なBBに対しては、pot33%Betを使った超高頻度少額CB戦略。
(「ほぼエニハンpot33%CB戦略」でも代替可)
⇒vsタイトなBBに対しては、33%Betを約20%減らし、70%Bet,Checkに回す。
⇒vsルースなBBに対しては、さらに33%Betを増やす(全ハンド33%CB戦略)。
2.「A」~「9」ハイボードについて
・標準的なBBに対しては、33%Betを軸にした高頻度CB戦略。
⇒vsタイトなBBに対しては、33%Betを約20%減らし、70%Bet,Checkに回す。
⇒vsルースなBBに対しては、さらに33%Betを増やす(全ハンド33%CB戦略)。
3.「8」以下のハイボードについて
・標準的なBBに対しては、100%~33%BetとCheck混合戦略。
⇒vsタイトなBBに対しては、33%Betを微増。
⇒vsルースなBBに対しては、33%Betを約15%減らし、Check比率を増加。
上記はGTOが示した「BBのタイプに応じたBTNのボード別最適CB戦略のアジャスト方法」ですが、せっかくなのでこの結果を考察してみます。
●補足
上記の結果において、「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」におけるアジャストの方法は、ほぼ一緒になりました。
タイトな相手に対しては、「高頻度33%Betを主とした標準的な戦略から、約20%程度33%Betを減らし、代わりに少しの70%Betと多くのCheckを増やす」です。
また、ルースな相手に対しては、「高頻度33%Betを主とした標準的な戦略から、さらに33%CBを増やし、ほぼ全ハンドでCBを打つ」です。
この「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」のボードストラクチャーについて、共通している部分は何か?
一言でいえば、「BTNvsBB(2betpot)のレンジvsレンジにおいて、オリジナルであるBTNに有利なボードである」ということです。
では、なぜ「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」がオリジナルに有利になるか?
「1.ペアボード」は、例えばこんなボードです。
「2.「A」~「9」ハイボード」は、例えばこんなボードです。
(どちらも、左からBTNのCB率が高い順です。)
フロップがペアボードの場合、BTNとBBが持つごく一部の数コンボはトリップス・フルハウスなど強力なメイドハンドになりますが、多くの場合は、「BTNとBBのどちらにもヒットしていないこと」が特徴です。
オリジナルであるBTNには、フロップでヒットせずともエクイティが高く、BBが持っていないハンド(ポケットペア([AA]~[88])や強いAハイ([AK],[AQ]))を持っています。
そのため、こうしたペアボードでは、プリフロップにおけるスターティングハンドの強弱がそのままポストフロップのエクイティに反映しやすい傾向があり、オリジナルであるBTNに有利なボードといえます。
同様に、「A」~「9」ハイボードについても、BBがプリフロップで3betをしなかったことから、[AK],[AQ],[KQ]といったハイカードを相対的に多く持っているBTNに有利なボードといえます。
つまり、「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」は、スターティングハンドの強弱がそのままポストフロップのエクイティに反映しやすいボードであるため、結果としてオリジナルであるBTNが有利といえます。
そのため…
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・vsタイトなBBに対しては、標準時よりもスターティングハンドの強弱の差が縮まるため、BTNは33%CBを減らし、代わりに多くのエアーをCheckし、セミブラフ系の厳選したハンドで70%CBを打ちます。
・vsルースなBBに対しては、標準時よりもスターティングハンドの強弱がさらに顕著になるため、BTNはレンジの優位性を活かし、さらに高い頻度でCBが打てます。
---
一方で、「8」以下のハイボードはどうか?
「3.「8」以下のハイボード」は、例えばこんなボードです。
一般的に「ローボード」といわれる「8」以下のハイボードは、ろくでもないハンドをたくさん持つコーラーのBBにマッチしており、スターティングハンドの強弱がポストフロップのエクイティに反映しにくいボードといえます。
もちろん、オリジナルのBTNレンジには、ハイポケット等のプレミアハンドが含まれているため、ポストフロップのエクイティが50%を下回ることはそうそうありませんが、前掲のエクイティ分布図のとおり、「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」に比べ、エクイティが落ちていることがわかります。
こうした「8」以下のハイボードでは、スターティングハンドの強弱の差が先の「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」と逆向きに作用し、BTNとBBのエクイティの差が縮まる傾向があることが読み取れます。
そのため…
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・vsタイトなBBに対しては、標準時よりもスターティングハンドの強弱の差が縮まらないため、BTNはレンジの優位性を活かし、さらに高い頻度でCBが打てます(影響微)。
・vsルースなBBに対しては、標準時よりもスターティングハンドの強弱がより縮まるため、BTNは33%CBを減らし、代わりに多くのエアーをCheckします。
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上記の分析結果をまとめると、以下のとおりになります。
・BBがタイトにしたことによって、従来オリジナルのBTNが有利だったボード(ペアボード等)でのエクイティ差が縮まる一方、コーラーのBBが有利だったボード(ローボード等)でのエクイティ差はさらに広がる。
・BBがルースにしたことによって、従来オリジナルのBTNが有利だったボード(ペアボード等)でのエクイティ差が広がる一方、コーラーのBBが有利だったボード(ローボード等)でのエクイティ差はさらに縮まる。
●終わりに
大事なことですが、BTNvsBB(2betpot)において、BBがタイトorルースな場合、BTNの戦略は、一概に「CB率を増やす」「CB率を減らす」といった答えでは定義されません。
つまりは、BTNである私たちは、「BBがタイトorルースにしたことによって、BBにどういったハンドの割合が減ったor増えたのか?」を想像し、「結果として、フロップのボードストラクチャーはどちらに有利か?」まで考える必要があります。
また、 今回の分析では、BBのタイトorルースのハンドレンジについて、GTOを回すうえで仮定していますが、実践では、さらに「マニアック」「ニット」「Ax多め」「スーコネ多め」「セットマイン過多」…といった多くのプレイヤー属性に対し、それぞれのハンドレンジを想定しなければなりません。
「あいつはルースなくせに、よくボードに絡んでいて運が良い」で終わらせるのは簡単ですが、ローボードの場合なんかでは、むしろ普通のハンドレンジよりも、ルースなハンドレンジのエクイティの方が高くなるケースも多いです。
ポーカーは1ハンド勝負ではなく、HUDや観察といった形で、私たちは、相手の参加率・ハンドレンジ構成を予測することができます。
一律に「あいつはタイトだからきっと強い」「ルースだからきっと弱い」と結論付ける前に、「タイトorルースなハンドレンジに対して、ボードストラクチャーはどっちの味方か?」を考えることが大切です。
タイトorルースな相手に対するボードストラクチャー別CB戦略のアジャストについて
前回までの「vsBB(Tight)」、「vsBB(Loose)」をまとめた記事です。
BTNvsBB(2bet pot)について、「BBのPreflopコールレンジがタイトorルース」な場合、BTNのCB戦略はどのようにアジャストするべきか?を考えます。
なお、下記における「標準的なCB戦略」は、従前までの分析を基にしています。
●シチュエーション(再掲)
初期スタック:100bb持ち
BTN:2.5bb open
SB:Fold
BB:Call
<Flop>
BB:Check
BTN:?? ⇒ GTO戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)
1.BTN(オリジナル)のハンドレンジ(39.4%)
参考:Preflop Advisor - PokerSnowie
2.BB(コール)のハンドレンジ(標準:34.5%)
2-①.BBのハンドレンジ(タイト:22.4%) 2-②BBのハンドレンジ(ルース:46.4%)
●ハイカード別CB戦略のアジャストについて(結論)
1.ペアボードについて
・標準的なBBに対しては、pot33%Betを使った超高頻度少額CB戦略。
(「ほぼエニハンpot33%CB戦略」でも代替可)
・vsタイトなBBに対しては、33%Betを約20%減らし、70%Bet,Checkに回す。
・vsルースなBBに対しては、さらに33%Betを増やす(全ハンド33%CB戦略)。
2.「A」~「9」ハイボードについて
・標準的なBBに対しては、33%Betを軸にした高頻度CB戦略。
・vsタイトなBBに対しては、33%Betを約20%減らし、70%Bet,Checkに回す。
・vsルースなBBに対しては、さらに33%Betを増やす(全ハンド33%CB戦略)。
3.「8」以下のハイボードについて
・標準的なBBに対しては、100%~33%BetとCheck混合戦略。
・vsタイトなBBに対しては、33%Betを微増。
・vsルースなBBに対しては、33%Betを約15%減らし、Check比率を増加。
●総括
おおまかに3つに分類して、特徴を書き出しました。
各項目について補足を書こうと思いましたが、記事がかなり長くなりそうだったので、今回は結果だけに留めます。
ポイントとしては、上記「1.ペアボード」と「2.「A」~「9」ハイボード」において、タイトorルースなBBに対するBTNのアジャスト方法は、ほぼ同じことです。
また、「3.「8」以下ハイボード」は、上記の「1.2」項目ほどの感応度はないものの、タイトorルースに対するベクトルを逆にしたようなアジャスト方法であることがわかります。
おそらく次回の補足でBTNvsBB編も終わりかと思います。
その次は何をするかまだ決めてません。
もし面白そうなトピックがあれば、お待ちしてます!
「vsBB(Loose)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化について(完)
この記事は予約投稿ではなく、リアルタイムで投稿されています。
ところで、今日、世間はクリスマスらしいですね。
この記事は予約投稿ではなく、リアルタイムで投稿されています。
●前回まで
「BTNvsBB(Loose)」でのフロップ400ボードをもとに、ボードストラクチャー別のエクイティ変化を分析しました。
結論をまとめると、下記のとおりです。
1.BTNがBB(Loose)を相手にした場合、エクイティの有利はそこまで広がりません。
⇒既にBTNが優位なレンジvsレンジにおいて、BBがさらにレンジをルースにしたとしても、BTNのエクイティは、私たちが期待するほど上昇しません。
具体的には…
2-1.「BTNvsBB(Loose)」の想定では、フロップに「9」以上のハイカードが落ちた場合に、BTNのエクイティが上昇します。
⇒BB(Loose)のレンジには、ルースにしたことによって「まともなハンド」の割合が減少するため、「9」以上のハイカードは、よりBTNにとって望ましいカードになります。
2-2.逆に、「8」以下のローボードの場合では、エクイティは若干低下します。
⇒BB(Loose)が新たに組み入れる「まともなハンドでない」レンジには、「8」以下のカードがよくヒットしているため、BB(標準)と比べてエクイティが低下傾向になります。
つまり、「ルースなハンドレンジの相手に対しては、ハイカードが落ちたボードでは有利を取りやすく、逆にローボードで戦うのは危険」といえます。
●「vsBB(Loose)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化
<<シチュエーション>>
BTN:2.5bb
SB:f
BB:Call
<Flop>
BB:Check
BTN: GTO戦略(Bet(100%pot),Bet(70%),Bet(33%),Check)
なお、「vsBB(標準レンジ)」のGTO戦略は、この記事でまとめています。
下線部の具体的なBTNの最適戦略の変化は、下図のとおりになりました。
上部がフロップのペアボード、下部がペアボード以外の統計です。
ちなみに、最適戦略を考えるうえで大事な点ですが、「vsBB(Loose)」の状況下において、全てのハイカードで「ペアボード時のBTNのEQ>ペアボード以外のBTNのEQ」(赤枠部分の比較)が成り立っています。
(例えば、「A」ハイボードでは、BTNは平均してペアボード時に58.1%のエクイティがあり、ペアボード以外では57.7%のエクイティがあります。
同じ「A」ハイボードでは、ペアボード時の方がエクイティが高く、この特徴は、全てのハイカードで共通しています。)
補足すると、フロップボードでペアができた場合には、BTNとBBのどちらのハンドにもヒットしていないことが多いため、スターティングハンドレンジの優位性がそのままポストフロップのエクイティに表れやすいようです。
なので、ルースな相手に対し、フロップがペアボードになることは、BTNの私たちにとって喜ばしいことです。
とりあえずペアボードになったら両手を挙げて喜びましょう。
さて、「vsBB(Loose)」におけるBTNの最適戦略および「vsBB(標準)」との差分を下図にまとめました。
前回と同様に、特徴的なポイントを色枠で囲いました。
今回は数字が上手く書けたので満足しています。
①BTNの最適戦略(総計)について
「vsBB(Loose)」に対するBTNのGTO戦略(Bet(100%pot),Bet(70%),Bet(33%),Check)は、
(8.8%,16.1%,41.6%,33.2%)となりました。
この結果は、「vsBB(標準的)」と比べ、Bet(100%pot),Bet(70%)の比率はほぼ変わらず、Bet(33%)が+5.2%,Checkが▲5.1%増減しています。
つまり、最適戦略の総計でみると、Check頻度を減らし、少額CBを増やす結果となりました。
②ペアボードのボードストラクチャーについて
「9」以上のハイカードが落ちたペアボードにおいて、BTNはレンジの60~90%ものハンドで33%potCBを打ちます。
この結果は、「vsBB(標準)」分析における超高頻度少額CB戦略と大差ありません。
対して、「8」~「5」のハイカード止まりのペアボードでは、BTNは「vsBB(標準)」に比べて、明らかにCheck頻度が増えています(②右枠)。
BBがハンドレンジをルースにしたことにより、「8」~「5」ハイのペアボードは、よりBBに適したボードストラクチャーといえます。
BTNの私たちは、相手のレンジがルースになるほど、こうしたローボードの扱いについて、Check頻度を増やして慎重かつ保守的に対応します。
③ペアボード以外のボードストラクチャーについて
「vsBB(Loose)」では、「A」ハイボードにおいて33%potCB頻度が+15.1%となるなど、フロップにハイカードが落ちるほど、BTNはCB頻度を高める傾向にあります。
この傾向は、冒頭のエクイティ変化で分析したとおり、「A」~「9」までのハイボードであれば、「vsBB(標準)」よりもBTNはCB頻度を高めることで、ルースなBBにアジャストします。
反対に、「8」~「5」のハイボードにおいては、BTNは5~15%程度のCheck頻度と数パーセントの100%potCBを組み入れ、CB比率を低くします。
●結論
上記をまとめると、以下になります。
・「vsBB(Loose)」の状況下において、②ペアボードおよび③ペアボード以外は概ね共通し、「A」~「9」ハイボードで33%potなど少額CB比率を増やし、「8」~「5」のローボードでCheck比率と若干の100%potCBを増やすことで、ルースなBBにアジャストします。
また、この結果について補足します。
・「A」~「9」ハイのペアボードでは、「vsBB(標準)」の分析で触れたとおり、既にBTNは超高頻度少額CB戦略を採ることができていました。
そのため、今回の「vsBB(Loose)」分析では、「vsBB(標準)」との差分比較でCB比率がそれ以上に高くなる傾向は、明確に見受けられません。
・「4」ハイボードといった極端なローボードでは、いかにルースなBBでもヒットしているコンボは少ないことから、ペアボードと同様に、BTNのスターティングハンドの優位性がそのままポストフロップのエクイティに強い相関を持ちます。
結果として、極端なローボードにおいて、BTNのエクイティおよびCB頻度は、「vsBB(標準)」と比べて増加します。
ところで、今回の「vsBB(Loose)」分析結果は、「ハイカードが落ちたフロップで強気に攻めて、ローカードで固まったフロップは保守的にすることでアジャストする」というものでした。
この結果は、実は「vsBB(Tight)」の記事とほぼ正反対の結果になります。
「BTNvsBB(2betpot)」モデルにおいて、わざわざ「vsBB(標準)」「vsBB(Tight)」「vsBB(Loose)」の3パターンを分析した目的は、「標準的なプレイングを基準にしたアジャストの方向性」を調べることにあります。
つまり、3パターンのBBに対するGTO結果の点を線で結べば、その線の間にいる「ちょっとタイトな相手」や、延長線上にいる「かなりルース相手」に対して、「どの程度BTNがエクスプロイトすべきか」の推定ができるのではないか、ということです。
ということで、次回は「vsBB(標準)」「vsBB(Tight)」「vsBB(Loose)」の3パターンにおいて、ボードストラクチャーごとのエクイティおよび最適戦略に対する影響を分析します。
「vsBB(Loose)」な状況下におけるBTNのエクイティ変化について
前回はGTO論で脱線しましたが、そういえば、その前までは「vsBB(Tight)」の分析をしました。
全体平均で見ると、BTNは、少額の33%potCB頻度を減少させ、Check比率と70%potの中額のCB頻度を高めることで、タイトなBBのコールハンドにアジャストします。
また、ボードストラクチャーについては、「T」以上のハイボードとペアボードにおけるCB比率を減少させる一方、「9」以下のハイボードではCB比率を増加させることがわかっています。
この結果が、レンジが狭い「vsBB(Tight)」に対するアジャストの方法でした。
では、「vsBB(Loose)」ではどうなるのでしょう?
「1回だけ!」とか言いながらいつでもプリフロでコールしてくるような、憎らしくルースなBBをどうにかしてやりたいのです。
●導入
まず、前回までの「vsBB(Tight)」なレンジは、以下のように設定していました。
---
①BTN側のハンドレンジ
標準的なレンジである39.4%のハンドで2.5bbオープンします。
②BB側のハンドレンジ
(左が前回までの標準BBレンジ、右がタイトなBBレンジ)
(旧:34.5%) (新:22.4%)▲12.1%※
⇒
---
今回は、「①BTN側のハンドレンジ」はそのまま変えず、「②BB側のハンドレンジ」を標準よりもルースにします。
ルースなBBを想定したハンドレンジは、以下のとおりです。
②BB側のハンドレンジ
(旧:34.5%) (新:46.4%)+11.9%
⇒
BBの標準的なコールレンジ(34.5%)に、わずかな強いレンジと多くの弱いレンジを加え、ルースなコールレンジ(46.4%)を構成しました。
具体的には、BBは、わずかに強いハンド([ATs(50%ウェイト)]、[KJs(50%ウェイト)])を加えるとともに、弱いAx,Kx,Qx、また[K6o]や[T7o(50%ウェイト)]といった多くのオフスーツを組み入れています。
(比較のため、「標準⇒タイト」と「標準⇒ルース」のレンジ差分は、同じ12.0%程度になるよう設定しました。)
●「vsBB(Loose)」におけるエクイティ変化について
フロップは前回までと同じ400に設定しました。
「①vsBB」「②vsBB(Tight)」「③vsBB(Loose)」の3つに分類し、エクイティ分布およびBTNのCB戦略を表にしました。
今回は、赤枠を引いた「①vsBB」と「③vsBB(Loose)」におけるエクイティの変化を分析します。
(ところで、GTO+v1.1.5のアップデートによって、ボードが自動で並び替え・昇降順ソートができるようになりました。今まで数式でボードを並び替えていたんですが、こいつはなかなか便利です。)
ちなみに、 前回の「①vsBB」と「②vsBB(Tight)」において、BTNのエクイティは、ボードのストラクチャーによって異なる変化がありました。
前回記事と同様、「ペアボード」と「ペアボード以外」に分類した後、ハイカードによってボードを振り分けます。
下記が「vsBB(Loose)」における平均エクイティ(赤枠)と、標準的なBBとのエクイティ差分(青枠)になります。
うーんなんか緑っぽさは濃くなっているようですが、ぱっと見てもよくわかんないですね。
そこで、面白いと思ったポイントを抜粋します。
(上と下は同じ図です。ささやかな初の試みですが、分かりやすいようにラクガキしてみました。)
①平均エクイティ(総体)について
400のフロップにおけるBTNの平均エクイティは、
「①vsBB」では54.20%
「②vsBB(Tight)」では51.31%
「③vsBB(Loose)」では55.66%
となりました。
一見、 BBのコールレンジの広い狭いによって、順当にBTNのエクイティは変化しているように見えます。
ただ、その差分に注目すると、「②-①」は▲2.89%、「③-①」は+1.45%と、エクイティ変化には、約2倍ほどの感応度があることがわかります。
この差分の違いを言い換えれば、
「BBが標準⇒タイトにした場合(②-①)に、BTNのエクイティは2.89%低下する。
しかし、BBが標準⇒ルースにした場合(③-①)には、BTNのエクイティは1.45%しか上昇しない。」
となります。
先の前提によれば、「標準⇒タイト(②-①)」と「標準⇒ルース(③-①)」は、どちらも標準的レンジ±12.0%程度にしています。
にもかかわらず、BBがタイトにすればBTNのエクイティは大きく低下する一方、BBがルースにしてもBTNのエクイティは大して上昇しません。
私たちBTNとしてはなんとも歯痒い結果ですが、どうやら、既にレンジvsレンジで有利を取っているBTNにとって、BBがルースにしたことでさらに有利にできるエクイティは限られているようです。
(有名な話ですが、[AKo]vs[73o]という「最強vs最弱対決」でも、[AKo]のエクイティは約65%であり、[73o]には約35%ものエクイティがあります。
標準的なBTNvsBBにおいて、BTNには既に54.20%のエクイティがあり、このエクイティをさらに高めるのは難しいようです。)
②「T」以上のハイボードにおける影響について
①の結果により、私たちBTNは喜ばしくないことに、「vsBB(Loose)」では期待よりもエクイティを高められないため、憎らしきルースなBBに対して、さほどマウントを取れそうにありません。
ですが、ボードストラクチャー別にみれば、いくらかマウントを取れるスポットもありそうです。
赤枠②は、「T」以上のハイボードに注目しています。
前回記事の「vsBB(Tight)」のとおり、「T」以上のハイボードにおけるBTNのエクイティは、上図の「②-①」のとおり低下しています。
これは、BB側に「まともなハンド」が増えたことから、「T」以上のハイカードにヒットする確率が高まっているためです。
反対に、「vsBB(Loose)」においては、「T」以上のハイボード(特に「A」ハイボード)におけるBTNのエクイティが上昇していることがわかります。
「vsBB(Tight)」とは逆のことを示唆しているだけですが、これは、BB側に「まともなハンド」の割合が減ったことから、元々有利だった「T」以上のハイボードがBTNにさらに有利になるためです。
また、図の結果より補足すれば、BBのコールレンジがルースなとき、BTNが全体的に有利になるというよりも、ボードのSUM値が高い場面or極端に低い場面で有利になることが多いようです。
ここまで、「vsBB(Loose)」にしたことによるエクイティの変化を分析しました。
次回は、このエクイティ分布を基に、BTNのCB戦略を分析してみます。
GTOとエクスプロイトについて(所感)
ところで、界隈で「FUCK GTO」が話題になりましたね。
「GTOなんかより、やっぱりエクスプロイトが大事だよ!Fuck!」って内容だったと記憶してますが、まさしくその通りだと思います。
こんなブログの割にあんまりGTOに詳しくはないんですが、せっかくなので、GTO戦略について思うところを書いてみます。
●はじめに
まず、ポーカープレイヤーとして目指すべきは、「利益の最大化」に尽きます。
そのためにやるべきは、GTO戦略の模倣ではなくて、相手に応じたエクスプロイト戦略の選択です。
ただ、ポーカーにおける問題は、エクスプロイトするための最初の基準がイマイチ解らないことです。
じゃんけんのGTOは分かりやすいですね。
「「グー」「チョキ」「パー」を33%ずつ同じ頻度で出す」ことが「GTO(搾取不可能な戦略)」です。
そして、特定の相手と何度かじゃんけんを繰り返しているうちに、「相手が「チョキ」を多用する」リークを発見すれば、こちらは「グー」の比率をGTOの33%から上昇させることで、エクスプロイトした(相手のリークを搾取する)戦略を採ることができます。
ところで、ポーカーのGTOは難しいです。
どのアクションをどんな頻度で採れば、じゃんけんでいうところの「「グー」「チョキ」「パー」を33%ずつ同じ頻度で出す」GTO戦略になるのでしょう?
●シチュエーション例
例えば、私たちBTNがオープンし、BBの相手がコールした2betpotを想定します。
そして、私たちは、BBのこれまでのプレイングから、「BBの相手がルース・パッシブである」ことを知っているとします。
さて、フロップのボードが[AcAh5d]のとき、BTNのCB戦略は、どんなアクションを採ればいいのでしょう?
「うーんGTOはわかんないけど、とりあえずCBを打とう!相手にそうそう「A」はないだろ!
それにパッシブだし、CBを打ってもあんまりレイズされなさそうだ。
普通のオリジナルのCB率は60%位って聞いたから、80%位のハンドでCBを打てばいいかな?
でもペアボードだし、CB額はpot30%で安くしとこう!
よーし、80%のハンドで、pot30%のCBを打とう!」
という安直にエクスプロイト戦略を立ててみました。
じゃ、実際にGTOを回してみましょう!
BTNvsBB(Loose)2betpotのハンドレンジを想定し、[AcAh5d]と設定します。
(BBの「ルースパッシブ」の特徴のうち、「ルース」のみハンドレンジの広さによって設定し、「パッシブ」なアグレッションはまだ考慮していません。)
このとき、BTNのCB戦略は以下のようになりました。
BTNアクション内訳(100%potBet,66%,33%,Check)=(0.0%,0.1%,99.9%,0.0%)
なんと、BTNvsBB(Loose)2betpotの[AcAh5d]ボードにおいて、GTOが示すBTNのCB戦略は、99.9%の頻度で33%potBetアクションです。
ルース・パッシブなBBに対し、さっきはBTNから80%位でCBするつもりでしたが、どうやら適正なCB比率には足りなかったようです。
さらにこの結果に加えて、「BBがパッシブである」という情報を基に、GTOによる簡易的なエクスプロイトを分析してみます。
「Node Lock」でCBに対するBB側のRaise頻度を減らした(GTOが推奨する頻度の30%程度のRaise率)場合について、BTNのGTO戦略を調べます。
BTNアクション内訳(100%potBet,66%Bet,33%Bet,Check)=(0.0%,12.2%,87.8%,0.0%)
元々のルースなハンドレンジに加え、「BBがパッシブである」ことにアジャストしたBTNのGTO戦略は、100%頻度の33%potBetからさらに攻撃的になり、12.2%の66%potBetアクションが加わりました。
また、驚くべきことに、この状況下におけるBTNのアクションで、Checkを採るハンドはありません(頻度0.0%)。
●結論
以上の結果をまとめると、BTNvsBB(Loose)の2betpotの[AcAh5d]ボードにおいて、BTNはGTO戦略として、100%の頻度で33%potのCBを打ちます。
この結果から、BTNはさらに「BBがどれほどパッシブか?」を考慮し、33%potBetの代わりに66%potBetなど、より高額なBetを組み入れていくことで、利益を最大化するエクスプロイトを試みます。
(この状況下で、BTNがCheckを採る選択肢はありません。)
このように、GTOは、時として私たちの感覚を上回るアクションを推奨します。
しかし、違和感のあるこの結果こそが、じゃんけんでいうところの「「グー」「チョキ」「パー」を33%ずつ同じ頻度で出す」GTO戦略であり、エクスプロイトするための基準にもなります。
つまり、「GTO戦略を知ることは、相手をエクスプロイトする基準を知ること」とも言えます。
そして同時に、ポーカープレイヤーである以上、相手にエクスプロイトしたいのは私たちだけではありません。
私たち自身も、相手のプレイヤーからエクスプロイトされる対象であることも承知していなければなりません。
先の言葉を言い換えれば、「GTO戦略を知らないことは、相手からエクスプロイトされ得る余地を残していること」とも言えます。
誰しも、「グー」「チョキ」「パー」を33%ずつ出せないのがポーカーです。
以上が、エクスプロイトに関して、GTO戦略を知ることの効果だと考えます。
●最後に
なんかポーカーにおけるGTOのイメージは、ロジック界のラスボスみたいな感じですが、その性質としては、ゴールというよりもスタートに近いものだと考えています。
特定の場面に応じて、エクスプロイトする基準となる「最適均衡」を知らなければ、「エクスプロイトしてやった!」はただの自己満足に終始してしまいます。
その基準を教えてくれるのがGTOです。
とはいえ、優れた観察眼を持っていたりエクスプロイトがやたら上手かったり、もちろんGTOなしに強くなる人はたくさんいることも同意します。
よっぽどのレートにならなければ、勝つためにGTOが必須科目というわけでもないと思います。
(特にライブポーカーなんかでは、ハンド以外にもプレイヤーの雰囲気・仕草・ティルト状態といった、エクスプロイトするための多くの分析材料が揃ってます。
GTOという言葉がこれだけ広まったのは、きっとネットポーカーの普及につれて対戦相手が見えなくなったことで、より「万人に対する標準的な戦略」が注目された結果なのだと勝手に想像しています。)
さらに言えば、GTO戦略の結果を模倣するよりも、「GTOが示すレンジvsレンジの考え方」や「GTOから乖離した相手をいかにエクスプロイトするか」を知ることの方が、ポーカープレイヤーとしてきっと大事な項目です。
そもそも、GTO戦略の真似だけやってても、あんまり面白くないです。
「守破離」の精神に似通ってますが、GTO戦略で示された解から、根拠を持って戦略を「動かせる」ことが、GTOを学ぶ最終目標だと思います。
「vsBB(Tight)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化について(完)
「RimWorld」おもろいっすね。
「Kenshi」初めてやった時も一生ハマりそうで危なかったけど、それ以来のヒットです。
●前回までのおさらい
BTNからオープンし、標準よりもタイトなBBがコールした場合のCB戦略を調べています。
ハンドレンジは以下のとおりです。
①BTN側のハンドレンジ
標準的なレンジである39.4%のハンドで2.5bbオープンします。
②BB側のハンドレンジ
(左が前回までの標準BBレンジ、右が今回のタイトなBBレンジ)
(旧:34.5%) (新:22.4%)
⇒
BBのハンドレンジをタイトに設定し、400通りのフロップ(BTNvsBB(Tight))を調べたところ下図の結果がわかりました。
BTNの私たちが、データ・観察等によって「BBのコールレンジがタイトである」と分かっているとき、フロップのハイカードが「T」以上であれば標準よりも明確にエクイティが低くなるものの、ハイカードが「9」以下のいわゆるローボードであればエクイティには特段影響がありません。
●BTNの最適戦略の変化について
上記の結果により、BB側がタイトなハンドレンジにしたからといって、BTNのハンドレンジに対し、一律に影響を与えるわけではないことがわかりました。
具体的には、BBがタイトなレンジでコールする場合、フロップのハイカードが「T」以上のボードにおけるBTNのエクイティが顕著に落ちています。
この原因は、元々、標準的なBB側のハンドレンジに多く存在していた[98o]や[97s]、[K6s]など、ミドルカードを含んだコネクタ・ワンギャップコネクタ・Kxs等のハンドが、BBのコールレンジから除かれたことにあります。
こうしたハンドを除き、BBがコールするハンドレンジは、34.5%⇒22.4%と厳選されたため、[KQo]や[KTs]といった「まともなコールハンド」の割合が増えています。
(もちろん、BBが持つ[KQo]や[KTs]といったハンドのコンボ数そのものは変わりませんが、BBが「コール!」と言った場合のBBのハンドレンジ総体に占める「まともなコールハンド」の割合が増加している、ということです。)
「エクイティはわかったよ。じゃ、タイトなBBにコールされたとき、BTNでCBはどうすりゃいいの?」
そう、ポーカーで勝つために、私たちはとにかく「アクションをどうすりゃいいのか」が知りたいのです。
前回までのエクイティ分析等を基にして、「vsBB(Tight)」な場合における、BTNの最適戦略の変化を調べてみます。
そこで、前回のエクイティ分布を残しつつ、GTO+による最適戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)を図にまとめてみました。
エクイティの数値は、前回の記事で取り上げたものと一緒です。
その図に、各ハイカードのフロップにおける「GTO+による最適戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)」を追加しました。
なんかめちゃくちゃ数字だらけになっちゃいましたね。
これじゃよくわかんないので、手っ取り早く「vs標準的BB」と「vsタイトなBB」における最適戦略の差分(上図の①左と②右の差)を調べてみます。
後掲で解説してるのでじっくり読み解かないで大丈夫です。
この図における差分とは、「②vsBB(Tight)において最適戦略が取るBTNのアクション比率」-「①vsBB(標準)において最適戦略によるBTNのアクション比率」です。
差分の値が負(図では赤)であれば、BBがタイトな場合、標準時に比べてアクション比率を下げるべきです。
反対に、差分の正(図では緑)であれば、BBがタイトな場合にアクション比率を上げるべきです。
(例えば、一番右上の「ペアボード、ハイカード「A」」におけるCheck比率15,326は、「BBがタイトな場合、BTNは、BBが標準時のアクションと比べて、Check比率を15.326%上げるべき」という結果になります。)
●結論
この図は色んな情報を持っていますが、ひとまず大きな特徴を3つ取り上げてみます。
(上と同じ図ですが、強調するため枠を付けて再掲しています。)
- フロップのハイカードが「T」以上の場合(赤枠)
「vsBB(Tight)」な状況下において、フロップのハイカードが「T」以上の場合、BTNの最適チェック比率は10%~30%ほど上昇します。
⇒BB側のハンドレンジに「まともなコールハンド」の割合が増えたことにより、フロップで「T」以上のカードが落ちた場合のヒット率が高くなっています。
従来のBTNは、フロップでハイカードが落ちた時には「高頻度少額CB」の方針でしたが、BBがタイトになると、チェック頻度を上げて対応しています。
- フロップのハイカードが「9」以下の場合(青枠)
一方で、フロップのハイカードが「9」以下の場合では、BTNのチェック比率はむしろ5%~25%ほど低下します。
⇒BBはハンドレンジをタイトにすることで、[97s]や[K6s]などミドルカードを含んだコネクタ・ワンギャップコネクタ・Kxs等のハンドを捨てています。
(補足するなら、BB側がタイトなコールレンジにしたとはいえ、オリジナルのBTNだけが持つ[99+]等のオーバーペアは、こうした「9」以下のボードに対して、依然として優位性を持っています。)
つまり、「9」以下のハイボードでは、タイトなBB側にヒットするコンボが減少しているため、BTNは「vs標準的なBB」よりも高い頻度でCBを打つことをGTOは推奨しています。
- フロップがペアボードの場合(紫枠)
フロップがペアボードの場合、BTNの33%potCB比率は10~30%ほど低下します。
⇒ペアボードは、BTNとBBどちらにもヒットしている可能性が低いボードストラクチャーです。こうしたペアボードでは、元々オリジナルであるBTNが有利な傾向がありました。
しかし、BBのハンドレンジには、ミドルカードを含むコンボを削ったことにより、ペアボードにおいてエクイティが高い[Ax]のハイカードや、[33,44,...]といったミドルポケットといった「まともなハンド」の割合が高くなっています。
つまり、従来のペアボードにおける「高頻度少額CB」の方針は、BBがタイトになったことにより、中額CB頻度とチェック頻度を上げることで対応しています。
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ここまで、大きく3つの特徴を取り上げました。
もちろん、もっと統計を細かく読み解けばたくさん情報はありそうですが、その一部です。
全体平均で見ると、BTNは、33%potといった少額のCB頻度を減少(▲11.6%)させ、Check比率(+9.3%)と70%pot(+2.2%)の中額のCB頻度を高めることで、タイトなBBのコールハンドにアジャストしています。
どうやら、相手がタイトなコールレンジの場合、「高頻度少額CB」のアベレージヒッターはやめて、「打つならしっかり打つ、諦めるなら諦める」のホームランバッターになる傾向があるようです。
以上で、「vsBB(Tight)」におけるBTNのCB戦略の分析は終わりです。
あとは「vsBB(Loose)」ver.をやれば、BBのタイプに応じて、標準的なBTNのCB戦略から「どういった方向性でBBにアジャストすべきか」を考察できそうです。
図や計算式のフォーマットは今回で作ってますし、GTOだけ回れば結構サクッといくかもしれません。
「vsBB(Tight)」な状況下におけるBTNのエクイティ変化について
●「vsBB(Tight)」状況下でのBTNのエクイティ変化について
前回、BBのコールレンジをタイトな設定に変化させ、これまで使った400のフロップにおけるBTNの最適戦略を再び調べました。
今、手元のデータセットには、「標準的なオープンレンジのBTNvs標準的なコールレンジのBB」と「標準的なオープンレンジのBTNvsタイトなコールレンジのBB」の2つがあります。
ハンドレンジをちょっとおさらいします(前回記事抜粋)。
①BTN側のハンドレンジ
上記の設定と同様に、下図のとおり39.4%のハンドでオープンすることとします。
つまり、狭くもなく広くもなく、標準的なハンドレンジです。
②BB側のハンドレンジ
(左が前回までの標準BBレンジ、右が今回のタイトなBBレンジ)
(旧:34.5%) (新:22.4%)
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このとき、「vs標準的なコールレンジのBB」と「vsタイトなコールレンジのBB」では、BTNのエクイティはどういった分布となるのか?
これを調べるため、「①vs標準的なコールレンジのBB」と「②vsタイトなコールレンジのBB」のそれぞれにおいて、BTNが持つエクイティを比較します。
400のフロップをハイカード別(ペアボードとそうでないボードの2つに分類しています。)に並べなおした結果、以下のようになりました。
①列:vs標準的なコールレンジのBB
②列:vsタイトなコールレンジのBB
差分:vs標準的BBからvsタイトなBBに変わったことによるBTNの喪失エクイティ
例)
一番上の行「ペアボード&A」では、[AAK]や[AA8]といった、Aがペアになったペアボードにおいて、BTNが持つ平均エクイティを示しています。
数値を抜粋すると、[AAx]のペアボードにおけるBTNの平均エクイティは、vs標準的なBBでは55.319%、vsタイトなBBでは51.468%、その差分は▲3.851%となります。
「そりゃタイトなBBを相手にしたら、BTNのエクイティが減るのは当たり前だろ!」という声が聞こえてきそうです。
ちょっと待ってください!
一見当たり前な結果でも、エクイティ差分に注目すれば、興味深いことがわかります。
おんなじ図に色を塗ってみました。
赤枠は、「vsタイトなBB」にしたことによって、BTNのエクイティが大きく損なわれた部分です。
反対に、青枠は、「vsタイトなBB」にしたにもかかわらず、BTNのエクイティに変化がなかった部分です。
この境目は、ハイカード「T」以上と「9」以下ではっきりと分かれています。
つまり、BTNの私たちが、データ・観察等によって「BBのコールレンジがタイトである」と分かっているとき、フロップのハイカードが「T」以上であれば標準よりも明確にエクイティが低くなるものの、ハイカードが「9」以下のいわゆるローボードであればエクイティには特段影響がありません。
どうやら、BB側がタイトなハンドレンジにしたからといって、BTNのハンドレンジに対し、一律に影響を与えるわけでもないようです。
次回、引き続き「vsタイトなBB」に対する分析です。