ボードの「ハイカード」によるエクイティおよびCBへの影響について
前回までは、BTNvsBBにおけるペアボード時のCBを考察しました。
特定のハンドレンジにおけるシミュレーションですが、一言でいえば、下図のとおり安くたくさん打つことによって、疑似GTO戦略を採ることができそうです。
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●ボードの「ハイカード」について
ここまで、ペアボードに絞ってCBの戦略を検討しました。
もし、BTNvsBBにおいて開くフロップが全てペアボードならめでたく完結ですが、残念なことに、そういう訳でも無さそうです。
ペアボードの分析は、過去記事「ボードテクスチャによるCB額の変化」における要因分析から出発していました。
今回は、その際に別の要因として挙げた、ボードの「ハイカード」による影響について、さらに細かく分析しています。
改めて、出発点であるボードテクスチャーの分類に戻ります。
まずは、ランダムなフロップを用意し、BTNvsBBにおける最適なGTO戦略のEVおよび各アクションの比率を調べました。
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同様の分析を以前の記事でも行っていますが、前回までの分析を踏まえ、以下のとおり変更しています。
・ペアボード分析時に、ボードの対象区分を絞っていく結果、最終的なサンプル数がやや少ない印象がありました。そこで、フロップのボードを200から400に増やしています。(dEV0.5%で回したところ、約30時間かかりました。)
・想定するハンドレンジについて、BB側がCall or Fold やCall or Raiseに悩むボーダー付近のハンドをCall50%としてウェイトを調整するなど、より細かく修正しました。
)
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●シチュエーション
初期スタック:100bb
BTN:2.5bbオープン
BB:Call
<Flop>
BB:Check
BTN:??(Bet100%,Bet66%,Bet33%,Check)
※ターン・リバーのBetサイズは75%potに固定
●BTN側のハンドレンジ
※PokerSnowie PreflopAdviserを参考に設定しました。
●BB側のハンドレンジ
※BTNと同様に、PreflopAdviserを参考に設定しました。(J4s、26sなど微妙なハンドを除いています。薄い部分は50%ウェイト)
●400のフロップにおけるEVおよび各アクションの比率
結果としては、以下のとおりです。
BTN側のエクイティが高い順に並べています。(長いので上位24と下位24のみ載せました。)
(中略)
特徴として、上のBTN側のエクイティが高いボードには、必ずブロードウェイカードが含まれています。一方、エクイティが低いボードは、「T」や「9」のミドルカード以下で構成されているようです。
ちなみに、今回のBTNvsBBハンドレンジにおいて、名誉あるエクイティNo.1ボードは、[KdTdJc](57.02%)でした。最もエクイティが低かったワーストボードは、[7h6s5c](50.42%)です。
次に、 上記のデータをシートに移し、ボードの「ハイカード」列を追加しました。
●まとめ
各ハイカードにおけるエクイティおよび各アクション比率を集計したところ、結果として、下図のとおりになりました。
この表から、下記のことがいえそうです。
・BTN側が(Bet100%,Bet66%,Bet33%,Check)のアクションにおけるGTO戦略を採った場合、平均値では61.6%でCBを打つ。(各アクションにおける平均値については、計欄を参照してください。)
⇒なお、今回の400のフロップのうち、ペアボードは61ありました。先般の分析のとおり、ペアボードでは適正CBが高頻度になるため、ペアボードを除いた場合には、さらにCB率は低くなりそうです。
⇒思いのほかCheckしている印象です。自分のような「とりあえずCBマン」に対するBB側の対抗戦略の検討も面白そう。
⇒また、BTNのCBに対するBBのアグレッションを適正より高くor低く想定した場合のBTN側の適正なCB比率の検討も回してみたいです。(「CBに絶対レイズするマン」と「CBに絶対レイズしないマン」を殺す適応戦略の策定)
・ハイカード「A」~「J」、「5」以下におけるボードでは、エクイティが平均またはそれ以上に高い。特に、「Q」ではその傾向が強い。
⇒ブロードウェイカードはBTN側のエクイティを高めるようです。また、一周回ってボードが全てローカードの場合も、エクイティは高くなるようです。
・ハイカード「T」~「6」におけるボードでは、平均よりエクイティが低い。特に、ハイカード「9」「8」「7」ではその傾向が強い。
⇒反対に、ミドルカードはBB側のエクイティを高めるようです。そういえば、先程のBTN側が有利な24のフロップには、「9」「8」「7」のミドルカードが1枚もありませんでした(上図)。
⇒今回はBTNvsBBの標準的なレンジに絞っていますが、想定されるBB側のハンドレンジがルースorタイトになった場合、ここでいうBTN側に不利な「ミドルカード」の範囲もまた変わると思われます。いずれ分析予定です。
・Check比率が低いほど、小さいCBを打つ比率が高くなる。
また、Check比率が高いほど、大きいCBを打つ比率が高くなる。
⇒GTO戦略は、「安くたくさんCBを打つ戦略」か「大きくたまにCB打つ戦略」のどちらかを採択しているようです。
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ここまで、ボードの「ハイカード」を基に、エクイティおよびCBへの影響を調べました。
既にペアボードの分析は行っているので、400のフロップのうちペアボード61を除いた残り339について、さらにカテゴリーに分類したうえで、ざっくりした疑似GTO戦略を検討していきます。
(あまりに分岐が多すぎても実用性に乏しいので、疑似GTO戦略の策定が難しい場合、考察に留めようと思います。また、「全て同じカード[5d5s5c]や「モノトーン&コネクター[5s6s7s]」等レアなボードも調べてみたいですが、活用頻度もかなり低いので一旦無視するつもりです。)
また、今回の分析結果からたくさん面白そうなテーマを拾えたので、いずれその辺りも調べてみたいです。