ポーカーGTO戦略のまとめ

GTO+でポーカー戦略を考えるブログ。Twitter:@NENDERS_Poker

「A」+(「K」~「T」)ハイボードにおけるCBについて

前回までのあらすじ:

BTNvsBBのシチュエーションにおいて、

「A」ハイ+(「K」~「T」)ハイのとき、CBはpot100%程と大きく打つ。

・対して、「A」ハイ+(「9」以下)ハイのとき、CBはpot33%程と小さく打つ。

⇒要するに、モノトーンを除く「A」ハイボードでのCBは、2ndハイカードが大きいほどBetサイズは大きく、2ndハイカードが小さくなるほどBetサイズは小さくすることで、GTO戦略が採るBetサイズを踏襲することができる。

 

hmpokergto.hateblo.jp

 

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ここまで、ボードテクスチャに応じた適正CB額を導出しました。

ここからは、特定のボードを抽出した上で、実際にどういったハンドでCBを打つかを検証します。

以下は、 ボードが「A」ハイ+2ndハイカード「K」の場合を分析しています。

 

●前提

前回まで、最適戦略は、(pot100%Bet,70%,33%,Check)の混合戦略によってEV値を計算していました。

ただ、いざ実践で活かすには、採り得るアクションの選択肢はなるべく少ない方が、直観的に使いやすく覚えやすいです。

 

そこで、CBのBet額を固定して、Bet100%/Checkの2択にして分析してみます。

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上の図は、A+「K」ハイボードにおいて、最適なGTO戦略((pot100%Bet,70%,33%,Check)の混合戦略)と、Bet100%orCheckの2つだけの戦略によって得られたEV値を比較しています。

 

結論として、2つの戦略におけるEV差(右列:EV_LOSS)は殆どなく、GTOによる最適戦略は、Bet100%orCheck戦略によって代替可能であることがわかりました。

よって、Bet100%orCheck戦略の仕組みが解れば、疑似GTO戦略を採ることができます。

 

 (

ちなみに、下の図は、上記に加えてBet33%orCheck戦略と比較した場合です。

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Bet100%orCheck戦略では殆どなかった最適戦略とのEV差(列:EV_LOSS)が、Bet33%orCheck戦略では乖離しています。

どうやら、A+「K」ハイボードにおける最適戦略は、Bet33%orCheck戦略では代替が難しいようです。

 

●A+「K」ハイボードでCBを打つレンジについて

BTNvsBBのシチュエーションにおいて、[AsKc8h]でのBet100%orCheck戦略のレンジを分析したところ、以下のようになりました。

 

 

①BTNのハンドレンジ総体でのBet100%orCheck

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②BTNのハンドの役ごとにおけるBet100%orCheck

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上図をまとめると、CB額をBet100%に固定した場合、BTNのBet100%orCheckアクションには、以下のような特徴がありました。

 

Bet100%(47.2%)レンジ

1.Value:①図の右下長方形(左からequityが高い順に並んでいる)の左の赤枠

・セット(AA,KK,88)

・ツーペア(AK,A8,K8)

・トップヒット(A)+「T」以上のキッカーより強いワンペア

 

2.Bluff:①図の右下長方形の右の赤枠

・ガットショット(QJ,QT,JT)

バックドア2種(79s、76s、65s)

・ショーダウンバリューの薄いローポケット(44,33,22)

など

 

Check(52.8%)レンジ

1.トップヒット(A)+「9」以下のキッカー

2.ミドル(K)、ボトム(8)ヒットのワンペア

3.ドロー系が全くない諦めハンド

 

Betハンドレンジは、TPGK以上のかなり強いハンド(Valueとガットショット等のセミブラフ系(Bluffによって構成されています。

また、Checkハンドレンジは、TurnとRiverで打たれても2発コールできそうなTPWKから、CB打つ気も無くなるようなしょんぼりハンドで構成されているようです。

もちろん、厳密にはこれらのハンドを適度に混合させる必要はあるものの、大まかには以上のように分類できそうです。

 

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個人的には、箇条書きに下線部を引いた部分の「オリジナルのBTNがトップヒット(A)した場合でもCBを打つor打たない」があることが意外でした。そこで、BTNのトップヒット(A)について、少し詳細に見てみます。

●付録

Bet100%orCheck戦略によって疑似GTO戦略を採る場合、BTN側は、トップヒット(A)のワンペアだけでは、バリューハンドとして充足しない。

⇒まず、BB側のCBに対する対抗レンジを見てみます。かなり大きいCB額のBet100%に対し、BB側の最適アクションは下図のとおりになります。

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この時、ポットサイズのCBに対し、BB側にはレイズ出来るハンドが殆ど無く、ミドルヒット(K)でもコールしにくい状態です。代わりに、BBは全てのトップヒット(A)によって、CBをコールします。

つまり、BTNから見れば、このBet100%のCBを採った場合BBからバリューを獲る対象ハンドは、ボトムヒット(8)やミドルヒット(K)ではなく、キッカー勝ちしているトップヒット(A)からを目的としています。

 

そのため、BTNがBet100%を選択する場合、トップヒット(A)に加えて強いキッカーが必要になるといえそうです。

 

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ここまで、A+「K」ハイボードでCBを打つハンドレンジについて、特定のボードを抽出して分析しました。

 

前回記事のとおり、「A」ハイ+(「K」~「T」)ハイは概ね似通ったBetサイズを推奨しています。

そのため、今回のCBのハンドレンジは、「K」が2ndハイの時に限らず、「A」ハイ+(「K」~「T」)ハイ全体に応用ができると思われます。

本当は、1つ1つの「A」+(「K」~「T」)ハイボードを見て検証したいですが、そんなに狭く深くしても仕方ないので省略する予定です。

 

●結論

ひとまず、「A」ハイ+(「K」~「T」)ハイボードにおける最適CBの疑似戦略は、以下を結論と置きます。

 

●CB額はポットベット(pot100%)に固定し、Bet100%orCheck戦略を採る。

●Bet100%レンジ

 1.Value

  ・TPGKより強いメイドハンド(ツーペア、セット等)

 2.Bluff:

  ・ガットショット

  ・バックドア2種

  ・ショーダウンバリューの無いポケットペア(4以下)など

●Checkレンジ

 ・TPWK(キッカーは「9」以下が目安)

 ・ミドルヒット、ボトムヒット

 ・ドロー系が全くない諦めハンド

 

とはいえ、この項目は、まだまだ研究余地がありそうです。折を見てもう少し修正を加えていこうと思います。(例えば、A+「T」ハイボード辺りでは、気持ちCB額を安くした方が良いかもしれません。)

 

次回は、「A」+(「9」以下)ハイボードのCBのハンドレンジを分析します。