ポーカーGTO戦略のまとめ

GTO+でポーカー戦略を考えるブログ。Twitter:@NENDERS_Poker

「vsBB(Tight)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化について(完)

「RimWorld」おもろいっすね。

「Kenshi」初めてやった時も一生ハマりそうで危なかったけど、それ以来のヒットです。

 

●前回までのおさらい

BTNからオープンし、標準よりもタイトなBBがコールした場合のCB戦略を調べています。

 

ハンドレンジは以下のとおりです。

①BTN側のハンドレンジ

標準的なレンジである39.4%のハンドで2.5bbオープンします。

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②BB側のハンドレンジ

左が前回までの標準BBレンジ右が今回のタイトなBBレンジ

(旧:34.5%)              (新:22.4%

f:id:NENDERS:20180707000205p:plain ⇒ f:id:NENDERS:20181105222041p:plain

 

BBのハンドレンジをタイトに設定し、400通りのフロップ(BTNvsBB(Tight))を調べたところ下図の結果がわかりました。

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BTNの私たちが、データ・観察等によって「BBのコールレンジがタイトである」と分かっているとき、フロップのハイカードが「T」以上であれば標準よりも明確にエクイティが低くなるものの、イカードが「9」以下のいわゆるローボードであればエクイティには特段影響がありません。

 

●BTNの最適戦略の変化について

上記の結果により、BB側がタイトなハンドレンジにしたからといって、BTNのハンドレンジに対し、一律に影響を与えるわけではないことがわかりました。

 

具体的には、BBがタイトなレンジでコールする場合、フロップのハイカードが「T」以上のボードにおけるBTNのエクイティが顕著に落ちています。

 

この原因は、元々、標準的なBB側のハンドレンジに多く存在していた[98o]や[97s]、[K6s]など、ミドルカードを含んだコネクタ・ワンギャップコネクタ・Kxs等のハンドが、BBのコールレンジから除かれたことにあります。

 

こうしたハンドを除き、BBがコールするハンドレンジは、34.5%22.4%と厳選されたため、[KQo]や[KTs]といった「まともなコールハンド」の割合が増えています。

(もちろん、BBが持つ[KQo]や[KTs]といったハンドのコンボ数そのものは変わりませんが、BBが「コール!」と言った場合のBBのハンドレンジ総体に占める「まともなコールハンド」の割合が増加している、ということです。)

 

「エクイティはわかったよ。じゃ、タイトなBBにコールされたとき、BTNでCBはどうすりゃいいの?」

そう、ポーカーで勝つために、私たちはとにかく「アクションをどうすりゃいいのか」が知りたいのです。 

 

前回までのエクイティ分析等を基にして、「vsBB(Tight)」な場合における、BTNの最適戦略の変化を調べてみます。

 

そこで、前回のエクイティ分布を残しつつ、GTO+による最適戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)を図にまとめてみました。

 

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 エクイティの数値は、前回の記事で取り上げたものと一緒です。

その図に、各ハイカードのフロップにおける「GTO+による最適戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)」を追加しました。

 

なんかめちゃくちゃ数字だらけになっちゃいましたね。

これじゃよくわかんないので、手っ取り早く「vs標準的BB」と「vsタイトなBB」における最適戦略の差分(上図の①左と②右の差)を調べてみます。

 

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後掲で解説してるのでじっくり読み解かないで大丈夫です。

この図における差分とは、「②vsBB(Tight)において最適戦略が取るBTNのアクション比率」-「①vsBB(標準)において最適戦略によるBTNのアクション比率」です。

 

差分の値が負(図では赤)であれば、BBがタイトな場合、標準時に比べてアクション比率を下げるべきです。

反対に、差分の正(図では緑)であれば、BBがタイトな場合にアクション比率を上げるべきです。

 (例えば、一番右上の「ペアボード、ハイカード「A」」におけるCheck比率15,326は、「BBがタイトな場合、BTNは、BBが標準時のアクションと比べて、Check比率を15.326%上げるべき」という結果になります。)

 ●結論

この図は色んな情報を持っていますが、ひとまず大きな特徴を3つ取り上げてみます。

(上と同じ図ですが、強調するため枠を付けて再掲しています。)

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  • フロップのハイカードが「T」以上の場合(赤枠)

「vsBB(Tight)」な状況下において、フロップのハイカードが「T」以上の場合、BTNの最適チェック比率は10%~30%ほど上昇します。

⇒BB側のハンドレンジに「まともなコールハンド」の割合が増えたことにより、フロップで「T」以上のカードが落ちた場合のヒット率が高くなっています。

従来のBTNは、フロップでハイカードが落ちた時には「高頻度少額CB」の方針でしたが、BBがタイトになると、チェック頻度を上げて対応しています

 

  • フロップのハイカードが「9」以下の場合(青枠)

一方で、フロップのハイカードが「9」以下の場合では、BTNのチェック比率はむしろ5%~25%ほど低下します。

⇒BBはハンドレンジをタイトにすることで、[97s]や[K6s]などミドルカードを含んだコネクタ・ワンギャップコネクタ・Kxs等のハンドを捨てています。

(補足するなら、BB側がタイトなコールレンジにしたとはいえ、オリジナルのBTNだけが持つ[99+]等のオーバーペアは、こうした「9」以下のボードに対して、依然として優位性を持っています。)

つまり、「9」以下のハイボードでは、タイトなBB側にヒットするコンボが減少しているため、BTNは「vs標準的なBB」よりも高い頻度でCBを打つことをGTOは推奨しています

 

  • フロップがペアボードの場合(紫枠)

フロップがペアボードの場合、BTNの33%potCB比率は10~30%ほど低下します。

ペアボードは、BTNとBBどちらにもヒットしている可能性が低いボードストラクチャーです。こうしたペアボードでは、元々オリジナルであるBTNが有利な傾向がありました。

しかし、BBのハンドレンジには、ミドルカードを含むコンボを削ったことにより、ペアボードにおいてエクイティが高い[Ax]のハイカードや、[33,44,...]といったミドルポケットといった「まともなハンド」の割合が高くなっています。

つまり、従来のペアボードにおける「高頻度少額CB」の方針は、BBがタイトになったことにより、中額CB頻度とチェック頻度を上げることで対応しています。

 

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ここまで、大きく3つの特徴を取り上げました。

もちろん、もっと統計を細かく読み解けばたくさん情報はありそうですが、その一部です。 

 

全体平均で見ると、BTNは、33%potといった少額のCB頻度を減少(▲11.6%)させ、Check比率(+9.3%)70%pot(+2.2%)の中額のCB頻度を高めることで、タイトなBBのコールハンドにアジャストしています。

どうやら、相手がタイトなコールレンジの場合、高頻度少額CB」のアベレージヒッターはやめて、「打つならしっかり打つ、諦めるなら諦める」のホームランバッターになる傾向があるようです。

 

以上で、「vsBB(Tight)」におけるBTNのCB戦略の分析は終わりです。

 

あとは「vsBB(Loose)」ver.をやれば、BBのタイプに応じて、標準的なBTNのCB戦略から「どういった方向性でBBにアジャストすべきか」を考察できそうです。

図や計算式のフォーマットは今回で作ってますし、GTOだけ回れば結構サクッといくかもしれません。