「vsBB(Tight)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化について(完)
「RimWorld」おもろいっすね。
「Kenshi」初めてやった時も一生ハマりそうで危なかったけど、それ以来のヒットです。
●前回までのおさらい
BTNからオープンし、標準よりもタイトなBBがコールした場合のCB戦略を調べています。
ハンドレンジは以下のとおりです。
①BTN側のハンドレンジ
標準的なレンジである39.4%のハンドで2.5bbオープンします。
②BB側のハンドレンジ
(左が前回までの標準BBレンジ、右が今回のタイトなBBレンジ)
(旧:34.5%) (新:22.4%)
⇒
BBのハンドレンジをタイトに設定し、400通りのフロップ(BTNvsBB(Tight))を調べたところ下図の結果がわかりました。
BTNの私たちが、データ・観察等によって「BBのコールレンジがタイトである」と分かっているとき、フロップのハイカードが「T」以上であれば標準よりも明確にエクイティが低くなるものの、ハイカードが「9」以下のいわゆるローボードであればエクイティには特段影響がありません。
●BTNの最適戦略の変化について
上記の結果により、BB側がタイトなハンドレンジにしたからといって、BTNのハンドレンジに対し、一律に影響を与えるわけではないことがわかりました。
具体的には、BBがタイトなレンジでコールする場合、フロップのハイカードが「T」以上のボードにおけるBTNのエクイティが顕著に落ちています。
この原因は、元々、標準的なBB側のハンドレンジに多く存在していた[98o]や[97s]、[K6s]など、ミドルカードを含んだコネクタ・ワンギャップコネクタ・Kxs等のハンドが、BBのコールレンジから除かれたことにあります。
こうしたハンドを除き、BBがコールするハンドレンジは、34.5%⇒22.4%と厳選されたため、[KQo]や[KTs]といった「まともなコールハンド」の割合が増えています。
(もちろん、BBが持つ[KQo]や[KTs]といったハンドのコンボ数そのものは変わりませんが、BBが「コール!」と言った場合のBBのハンドレンジ総体に占める「まともなコールハンド」の割合が増加している、ということです。)
「エクイティはわかったよ。じゃ、タイトなBBにコールされたとき、BTNでCBはどうすりゃいいの?」
そう、ポーカーで勝つために、私たちはとにかく「アクションをどうすりゃいいのか」が知りたいのです。
前回までのエクイティ分析等を基にして、「vsBB(Tight)」な場合における、BTNの最適戦略の変化を調べてみます。
そこで、前回のエクイティ分布を残しつつ、GTO+による最適戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)を図にまとめてみました。
エクイティの数値は、前回の記事で取り上げたものと一緒です。
その図に、各ハイカードのフロップにおける「GTO+による最適戦略(Bet(pot100%),Bet70%,Bet33%,Check)」を追加しました。
なんかめちゃくちゃ数字だらけになっちゃいましたね。
これじゃよくわかんないので、手っ取り早く「vs標準的BB」と「vsタイトなBB」における最適戦略の差分(上図の①左と②右の差)を調べてみます。
後掲で解説してるのでじっくり読み解かないで大丈夫です。
この図における差分とは、「②vsBB(Tight)において最適戦略が取るBTNのアクション比率」-「①vsBB(標準)において最適戦略によるBTNのアクション比率」です。
差分の値が負(図では赤)であれば、BBがタイトな場合、標準時に比べてアクション比率を下げるべきです。
反対に、差分の正(図では緑)であれば、BBがタイトな場合にアクション比率を上げるべきです。
(例えば、一番右上の「ペアボード、ハイカード「A」」におけるCheck比率15,326は、「BBがタイトな場合、BTNは、BBが標準時のアクションと比べて、Check比率を15.326%上げるべき」という結果になります。)
●結論
この図は色んな情報を持っていますが、ひとまず大きな特徴を3つ取り上げてみます。
(上と同じ図ですが、強調するため枠を付けて再掲しています。)
- フロップのハイカードが「T」以上の場合(赤枠)
「vsBB(Tight)」な状況下において、フロップのハイカードが「T」以上の場合、BTNの最適チェック比率は10%~30%ほど上昇します。
⇒BB側のハンドレンジに「まともなコールハンド」の割合が増えたことにより、フロップで「T」以上のカードが落ちた場合のヒット率が高くなっています。
従来のBTNは、フロップでハイカードが落ちた時には「高頻度少額CB」の方針でしたが、BBがタイトになると、チェック頻度を上げて対応しています。
- フロップのハイカードが「9」以下の場合(青枠)
一方で、フロップのハイカードが「9」以下の場合では、BTNのチェック比率はむしろ5%~25%ほど低下します。
⇒BBはハンドレンジをタイトにすることで、[97s]や[K6s]などミドルカードを含んだコネクタ・ワンギャップコネクタ・Kxs等のハンドを捨てています。
(補足するなら、BB側がタイトなコールレンジにしたとはいえ、オリジナルのBTNだけが持つ[99+]等のオーバーペアは、こうした「9」以下のボードに対して、依然として優位性を持っています。)
つまり、「9」以下のハイボードでは、タイトなBB側にヒットするコンボが減少しているため、BTNは「vs標準的なBB」よりも高い頻度でCBを打つことをGTOは推奨しています。
- フロップがペアボードの場合(紫枠)
フロップがペアボードの場合、BTNの33%potCB比率は10~30%ほど低下します。
⇒ペアボードは、BTNとBBどちらにもヒットしている可能性が低いボードストラクチャーです。こうしたペアボードでは、元々オリジナルであるBTNが有利な傾向がありました。
しかし、BBのハンドレンジには、ミドルカードを含むコンボを削ったことにより、ペアボードにおいてエクイティが高い[Ax]のハイカードや、[33,44,...]といったミドルポケットといった「まともなハンド」の割合が高くなっています。
つまり、従来のペアボードにおける「高頻度少額CB」の方針は、BBがタイトになったことにより、中額CB頻度とチェック頻度を上げることで対応しています。
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ここまで、大きく3つの特徴を取り上げました。
もちろん、もっと統計を細かく読み解けばたくさん情報はありそうですが、その一部です。
全体平均で見ると、BTNは、33%potといった少額のCB頻度を減少(▲11.6%)させ、Check比率(+9.3%)と70%pot(+2.2%)の中額のCB頻度を高めることで、タイトなBBのコールハンドにアジャストしています。
どうやら、相手がタイトなコールレンジの場合、「高頻度少額CB」のアベレージヒッターはやめて、「打つならしっかり打つ、諦めるなら諦める」のホームランバッターになる傾向があるようです。
以上で、「vsBB(Tight)」におけるBTNのCB戦略の分析は終わりです。
あとは「vsBB(Loose)」ver.をやれば、BBのタイプに応じて、標準的なBTNのCB戦略から「どういった方向性でBBにアジャストすべきか」を考察できそうです。
図や計算式のフォーマットは今回で作ってますし、GTOだけ回れば結構サクッといくかもしれません。