③BBvsBTN(3betpot)のボードファクターによる回帰分析について(実践編)
BBvsBTN(3betpot)におけるCBについて、GTO(Check/Bet(25%pot)/Bet(36%)/Bet(50%)/Bet(70%)/Bet(100%))による最適戦略をボードファクター別に回帰分析をしました。
結論として、それぞれのボードファクターが与えるGTO戦略への影響は、こんな図(前記事再掲)で表されることがわかりました。
とはいえ、あんまり数値だけ見てもよくわかりません。
具体的なボードを取り出し、このそれぞれの係数が意味することを考察していきます。
●BBvsBTN(3betpot)[7d6s2s]
1.試算値
・Preflop(100bb持ち)
BTN:2.5bb open
SB:Fold
BB:3bet 7.75bb
BTN Call 7.75bb
あなたはBBからvsBTNで3bet、BTNがコールしてフロップになります。
[7d6s2s]のフロップが開いたとき、あなたのアクションは?
上記の回帰分析をもとに、GTOによる平均CB額を試算してみます。
①初期値
1.スート
⇒ツースート…BBの平均CBサイズは40.1%からスタート
②修正値(定数)
2.ペアボード(ダミー変数:1 or 0)
3.ストレートコンボ(ダミー変数:1 or 0)
⇒どちらも該当なし
③修正値(可変)
4.ボードのハイカード(変数:2~14):ボードのハイカード×▲0.80%
⇒ハイカード「7」…7×▲0.80%=▲5.6%
5.ボードのSUM値(変数:6~42):ボードのSUM値×+0.19%
⇒ボードのSUM値15×0.19%=+2.8%
①+②+③
=40.1%+▲5.6%+2.8%=37.3%
よって、①~③のフィルターを通したこのボードの平均CB試算額は、37.3%となりました。
試算の結果出てきたこの数値は、果たして妥当でしょうか?
早速、今回扱ったものと同じボードにおけるGTO戦略を検証してみます。
2.GTO解
BBはBet(25%pot)からBet(100%)まで複雑怪奇な混合戦略を採っています。
このGTO戦略によるCB額の平均値を計算すると、33.3%になりました。
3.検証
結果として、
・回帰分析による試算は37.3%
・最適GTO戦略によるAVERAGE_BETは33.3%
となりました。
平均CB額は4.0%ほど乖離しましたが、試算値は概ねGTO戦略の傾向を捉えているといえそうです。
4.疑似GTO戦略としての試算値
ところで、[7d6s2s]において、回帰分析の試算値として得られた37.3%を、そのままBBのAll Hand CB戦略に当てはめてみると、BBのEVはどうなるでしょう?
つまり、シチュエーションでいうとこんな具合です。
・Preflop(100bb持ち)
BTN:2.5bb open
SB:Fold
BB:3bet 7.75bb
BTN Call 7.75bb
Flop:ボード[7d6s2s]
BB:All Hand CB 37.3%pot
BBのアクションを37.3%potBetの一択にした図がこちら。
BBがこの戦略によってBBが得られるEVは、8.45です。
実は、先のボードにおいて、BBの最適GTO戦略によるEVは、8.56でした(上図)。
この2つの戦略によるBBのEV乖離は、▲0.11bbです。
つまり、16.0bbのpotに対して▲0.68%の損に留まっており、ALL37.3%potBet戦略は、十分GTO戦略の代替として活用できる水準といえます。
この結果をみると、面白そうな仮説が立てられます。
試算表「①初期値」⇒「②修正値(固定)」⇒「③修正値(可変)」によって、フロップボードごとの平均CB額「X%pot」を算出すれば、BBは「ALL X%pot CB」戦略によって、各ボードの疑似GTO戦略を採り得るのではないか?
ですが、結論から言えば、おそらくこれを今後証明することはありません。
1つに、1,000ボードそれぞれ固有の平均CB額を算出するのは簡単ですが、これらをそれぞれボードごとに設定してGTOを回すのは、途方もない作業だからです。
回帰分析による平均CB額は信憑性がありますが、この値を使ったGTO戦略となると、もう一度各ボードにおけるEV乖離値の検証が必要になります。
また、もう1つに、疑似戦略としての精度はそこそこ高そうですが、計算式がちょっとややこしいため、実践で使いにくいからです。
いざボードが開いてから「レインボーかつペアボード、ハイカードがいくつでSUM値がいくつだから~」とやっていると、いかんせん時間が足りません。
(将来、ボードを打ち込めば、最適GTO戦略による平均CB額を試算するアプリくらいなら作れるかもしれません。)
なので、回帰分析による試算値を使った「疑似GTO戦略」は、体系化の1つとしてはかなり再現性が高いように思えますが、このブログでの検証は一旦ここまでとします。
今後は、もう少し簡略化して実践向きな「疑似GTO戦略」の策定に入ります。