ポーカーGTO戦略のまとめ

GTO+でポーカー戦略を考えるブログ。Twitter:@NENDERS_Poker

②「J」以下のハイボードにおけるCBについて

全然関係ないですけど、当ブログが下記で紹介されていました。ありがとうございました。

面白いし何よりめちゃめちゃ読みやすい。ぶろぐは奥が深いなあ。すごいなあ。

www.pokerjaws.com

また、Twitterでレスポンスくれる方々も励みになります、毎度ありがとうございます。連日ポーカー界隈も盛り上がっているようで、楽しく見ています。

 

 

さて、前回記事の重回帰分析によって、「J」以下のハイボードでは、「ストレートのコンボがあるか」や「コネクタがあるか」といったテクスチャによって、CB率とBetサイズが変化することがわかりました。

 

●分析結果

早速ですが、前回記事の分析結果を表にしました。

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補足として、上図では、Checkアクションを含むBTNの平均CB額をpot比で表しています(前回記事の①5.500potに対してBTNがBetする加重平均値(Check含む)をpot比に換算しました。)。

 

「J」以下のハイボードでの平均的なCB率は、およそ50~70%である(下図)です。

デフォルトの平均Bet額82.01%(対pot比)とは、残り30%~50%のCheckを含めた全アクションでの平均で導出された数値なので、CB額そのもので考えれば、pot100%を超えることも十分ありえるといえそうです。

ついに、したり顔でポットオーバーを打てるボードが見つかりそうです。やったー!

 

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ただし、前回記事のとおり、重要なのは、先の図のうちデフォルトの下のボードの要素(赤背景)です。

 

「J」以下のハイボードでは、BTNの平均CB額は、いわゆる「減点方式」ような形で表せるようです。

要するに、重回帰分析による結果のうち有意なものを選別してまとめると、以下のようになります。

 

「J」以下のハイボードでは、全アクション平均でpot82.01%のCBを打つことができる。

ただし…

①フロップでストレートが作れるコンボがある場合、平均CB額は▲24.66%低下する。

②ボードにコネクタがある場合、平均CB額は▲10.11%低下する。

③モノトーンボードである場合、平均CB額は▲8.91%低下する。

 

以上が分析結果による結論です。

なんだかわかったような、わかんないようなですね。

 

ということで、具体例で見るのが一番です。 

キーワードは、「BTNのTPTK・オーバーペアがValueBetを打てるかどうか」です。

 

●ケース[JdTc7h]

 [JdTc7h]のボードは、先の条件のうち、①ストレート条件(89がストレートを作るコンボ)と②コネクタ条件(ボードのJTがコネクタ)を満たしています。

先の分析によれば、①~③の条件に該当するボードでは、BTNの平均CB額が下がり、Checkの比率も上がるはずです。

どうなるか見てみましょう。

 

GTOによるBTNの最適戦略は、下図のようになります。

BTNvsBB 2betpot(pot5.5)BB:Check⇒BTN:?

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<BTNの最適戦略>

平均CB額(Check含む):pot27.3%

内訳:(Bet(pot100%),pot70%,pot33%,Check)=(1.3%,9.8%,20.5%,68.3%

 

<考察>

めちゃくちゃCheckします。

トップヒットしたTPTK(AJ)やオーバーペア(AA,KK)も含め、広くCheckしています。なぜでしょう?

 

どうやらこの原因は、既にBBのハンドレンジに数多くのメイドハンドが含まれていることにあるようです。

 

そもそも、BTNvsBBの2betpotにおける[JdTc7h]のボードにおいて、オリジナルのBTNがハンドレンジに持つTPTK(AJ)やオーバーペア(AA,KK,QQ)は、どれくらい強いのでしょうか?

 先の①と②の条件に照らして、考察してみます。

①ストレート条件

[JdTc7h]において、最も強いハンドは、[89]のストレートです。このメイドハンドに対して、TPTK・オーバーペアは、既に殆どエクイティがありません。

加えて、オリジナルであるBTNだけが持ち得たフロップセット(JJ,TT)でさえ、ストレートに対しては、既にアンダードッグになっています。

こうした「そこそこ強かった系」ハンドでCBを打ち、BBからレイズが返ってきて困った経験は、おそらくポーカープレイヤーなら誰しも経験するはずです。

そのため、BTNにはこうしたTPTK・オーバーペアを含む幅広いハンドでショーダウンバリューを優先し、Checkアクションが増えます。

 

⇒こういった背景から、条件①(ストレート条件)が該当するボードでは、BTNの平均CB額が大きく低下します。

 

②コネクタ条件

[JdTc7h]のボードで注意すべきは、ストレートのコンボだけではありません。

BTNvsBBのハンドレンジをみると、オリジナルであるBTNがプレミアハンドを持つ反面、BBのハンドレンジには、相対的にコネクタハンド(QJ,JT,T9など)が増えています。

そして、今回の[JdTc7h]のボードでは、BBに[JT]という強力なツーペアがレンジに含まれています。

そのため、BTNのTPTK(AJ)やオーバーペア(AA,KK,QQ)は、ツーペアのコンボに対し、既にエクイティで逆転されているため、楽観的にCBを打つことができません。

よって、①と同様に、BTNにはCheckアクションが増えます。

 

⇒こういった背景から、条件②(コネクタ条件)が該当するボードでは、BTNの平均CB額が低下します。

 

●結論

キーワードに照らしていえば、先のケースでは、①ストレート条件と②コネクタ条件により、BTNは「TPTK・オーバーペアでValueBetを打つことが難しい」といえます。

よって、 [JdTc7h]におけるBTNのアクションには、Checkアクションが増え、CB額も小さくなる結果となりました。

 

この具体例からいえることとして、冒頭の「J」以下のハイボードにおける①~③(ストレート、コネクタ、モノトーン)の条件とは、BTNが持ち得たTPTK・オーバーペアといった「そこそこ強かった系」ハンドに対し、BBが逆転したコンボをどれだけ持っているかを示しているといえます。

 

つまり、フロップのボードテクスチャがこの①~③の条件に該当するほど、BBには、BTNのTPTK・オーバーペア等を逆転したコンボが多く含まれているといえます。

こうしてBTNが打ちにくくなるボードの見分け方を簡易化したものが、先の①~③の条件です。

 

では、①~③の条件に該当しない「J」以下のハイボードであれば、きっとBTNは大きくバコーンと打てるはずです。そちらの具体例も見てみましょう。

 

ただ、ちょっと長くなってしまいました。

続きは次回です。