①「J」以下のハイボードにおけるCBについて
前回までのあらすじ:
BTNvsBBのフロップ400をカテゴリー別に分類しました。
・ペアボード
・「A」+「K」~「T」のハイボード
・「A」+「9」以下のハイボード
・「K」・「Q」ハイボード
まで終わって、残るは「J」以下のハイボードです。
●導入
いよいよ最後の章です。
ちなみに、これまでの色んなボードテクスチャの分析結果は、「J」以下が終わり次第、いずれ一つの記事に詰め込む予定です。
ところで、「J」以下のハイボードが摩訶不思議な結果になっているのは、前回の記事の苦悶のとおりです。
そのため、こちらも従来のように簡潔な分析結果で済ませるのは諦めました。
以降は、「J」以下のハイボード達との戦争です。
(結論・考察は次回なので、今回は読み飛ばしても構いません。)
●前提
「J」以下のハイボード(131個)について、重回帰分析を行います。
説明変数は、ボードテクスチャにおける以下の5つの要素としました(1~4はダミー変数を用いています。)。
- モノトーンボードか否か
- Flopでストレートが作れるか([JT7]や[J97]は可、[J86]は不可など)
- ボードにコネクタ(連続した数字)があるか
- ドライボードか(ボードにWギャッパーが2つ存在するものと定義([J74]など))
- ボードの3枚を全て足したSUM値
被説明変数は、GTOによる(100%potBet,70%,33%,Check)の最適戦略から計算された、以下の2つとしました。
- BTNのアクションで5.500のPotにBetする加重平均値(Check含む)
- BTNがCBする場合の平均Betサイズ(Check除く)
つまり、フロップのボードテクスチャを赤の5つの要素に分解し、それぞれが青の「BTNのアクションで平均どれくらいpotに金を投げ入れるか」および「CBを打つと決めた場合の平均的なBetサイズ」にどういった影響をもたらすのを調べます。
●結果
①5.500potに対してBTNがBetする加重平均値(Check含む)
5つの要素による影響を調べたところ、以下の表を出してくれました。
最近のGoogle スプレッドシートはすごいですね。
以上の結果を、影響力が高い順番に並び替えて整理します。
また、あまりに統計的に有意でないものは省いています。
<①結果>
●BTNの全アクション(Check含む)における平均Bet額は、デフォルトではpot5.500に対して4.500のCB(約80%)を打つ。
しかし…
- Flopでストレートが作れるコンビネーションがある場合、▲1.356(約30%)少なくなる
- ボードにコネクタがある場合、▲555(約10%)少なくなる
- モノトーンの場合、▲490(約10%)少なくなる
例えば、「Flopでストレートが作れる+ボードにコネクタがある」ボード([JT7]や[T87]など)では、2つの影響によって、デフォルトの80%から、▲30%と▲10%の影響が合わさり、40%程度の平均Bet額となります(Check含む)。
続いて、BTNがCBを打つと決めた場合のBet額に対する影響力を調べます。
②BTNがCBする場合の平均Betサイズ(Check除く)
<②結果>
●BTNがCBを打つと決めた場合、最適戦略による平均CB額は53%potである。
しかし…
- モノトーンボードの場合、平均CB額は▲12%小さくなる
- Flopでストレートが作れるコンビネーションがある場合、▲7%小さくなる
- ドライボードの場合、▲7%小さくなる
- ボードSUM値が大きくなるほど、Bet額は大きくなる(SUM値が10大きくなると+6%程度)
ひとまず、以上が重回帰分析の結果になります。
これらの分析から、例えば、Flopでストレートが作れるコンビネーションがある場合には、BTNのCB率は大きく下がり、加えて平均CB額が下がることがわかります。
一方で、ボードSUM値(フロップボードの数を足した合計)は、CB率そのものには有意な影響を与えないものの、SUM値の大小によって、平均CB額が増減していることがわかります。
つまり、ボードテクスチャの要素によって、CB頻度を下げる影響やCB額を小さくする影響は様々であるといえます。
なんか、もうポーカーのブログとは思えないですね。
このへんの分析結果をまとめた結論と考察は、次回へ続きます。