「vsBB(Loose)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化について(完)
この記事は予約投稿ではなく、リアルタイムで投稿されています。
ところで、今日、世間はクリスマスらしいですね。
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●前回まで
「BTNvsBB(Loose)」でのフロップ400ボードをもとに、ボードストラクチャー別のエクイティ変化を分析しました。
結論をまとめると、下記のとおりです。
1.BTNがBB(Loose)を相手にした場合、エクイティの有利はそこまで広がりません。
⇒既にBTNが優位なレンジvsレンジにおいて、BBがさらにレンジをルースにしたとしても、BTNのエクイティは、私たちが期待するほど上昇しません。
具体的には…
2-1.「BTNvsBB(Loose)」の想定では、フロップに「9」以上のハイカードが落ちた場合に、BTNのエクイティが上昇します。
⇒BB(Loose)のレンジには、ルースにしたことによって「まともなハンド」の割合が減少するため、「9」以上のハイカードは、よりBTNにとって望ましいカードになります。
2-2.逆に、「8」以下のローボードの場合では、エクイティは若干低下します。
⇒BB(Loose)が新たに組み入れる「まともなハンドでない」レンジには、「8」以下のカードがよくヒットしているため、BB(標準)と比べてエクイティが低下傾向になります。
つまり、「ルースなハンドレンジの相手に対しては、ハイカードが落ちたボードでは有利を取りやすく、逆にローボードで戦うのは危険」といえます。
●「vsBB(Loose)」な状況下におけるBTNの最適戦略の変化
<<シチュエーション>>
BTN:2.5bb
SB:f
BB:Call
<Flop>
BB:Check
BTN: GTO戦略(Bet(100%pot),Bet(70%),Bet(33%),Check)
なお、「vsBB(標準レンジ)」のGTO戦略は、この記事でまとめています。
下線部の具体的なBTNの最適戦略の変化は、下図のとおりになりました。
上部がフロップのペアボード、下部がペアボード以外の統計です。
ちなみに、最適戦略を考えるうえで大事な点ですが、「vsBB(Loose)」の状況下において、全てのハイカードで「ペアボード時のBTNのEQ>ペアボード以外のBTNのEQ」(赤枠部分の比較)が成り立っています。
(例えば、「A」ハイボードでは、BTNは平均してペアボード時に58.1%のエクイティがあり、ペアボード以外では57.7%のエクイティがあります。
同じ「A」ハイボードでは、ペアボード時の方がエクイティが高く、この特徴は、全てのハイカードで共通しています。)
補足すると、フロップボードでペアができた場合には、BTNとBBのどちらのハンドにもヒットしていないことが多いため、スターティングハンドレンジの優位性がそのままポストフロップのエクイティに表れやすいようです。
なので、ルースな相手に対し、フロップがペアボードになることは、BTNの私たちにとって喜ばしいことです。
とりあえずペアボードになったら両手を挙げて喜びましょう。
さて、「vsBB(Loose)」におけるBTNの最適戦略および「vsBB(標準)」との差分を下図にまとめました。
前回と同様に、特徴的なポイントを色枠で囲いました。
今回は数字が上手く書けたので満足しています。
①BTNの最適戦略(総計)について
「vsBB(Loose)」に対するBTNのGTO戦略(Bet(100%pot),Bet(70%),Bet(33%),Check)は、
(8.8%,16.1%,41.6%,33.2%)となりました。
この結果は、「vsBB(標準的)」と比べ、Bet(100%pot),Bet(70%)の比率はほぼ変わらず、Bet(33%)が+5.2%,Checkが▲5.1%増減しています。
つまり、最適戦略の総計でみると、Check頻度を減らし、少額CBを増やす結果となりました。
②ペアボードのボードストラクチャーについて
「9」以上のハイカードが落ちたペアボードにおいて、BTNはレンジの60~90%ものハンドで33%potCBを打ちます。
この結果は、「vsBB(標準)」分析における超高頻度少額CB戦略と大差ありません。
対して、「8」~「5」のハイカード止まりのペアボードでは、BTNは「vsBB(標準)」に比べて、明らかにCheck頻度が増えています(②右枠)。
BBがハンドレンジをルースにしたことにより、「8」~「5」ハイのペアボードは、よりBBに適したボードストラクチャーといえます。
BTNの私たちは、相手のレンジがルースになるほど、こうしたローボードの扱いについて、Check頻度を増やして慎重かつ保守的に対応します。
③ペアボード以外のボードストラクチャーについて
「vsBB(Loose)」では、「A」ハイボードにおいて33%potCB頻度が+15.1%となるなど、フロップにハイカードが落ちるほど、BTNはCB頻度を高める傾向にあります。
この傾向は、冒頭のエクイティ変化で分析したとおり、「A」~「9」までのハイボードであれば、「vsBB(標準)」よりもBTNはCB頻度を高めることで、ルースなBBにアジャストします。
反対に、「8」~「5」のハイボードにおいては、BTNは5~15%程度のCheck頻度と数パーセントの100%potCBを組み入れ、CB比率を低くします。
●結論
上記をまとめると、以下になります。
・「vsBB(Loose)」の状況下において、②ペアボードおよび③ペアボード以外は概ね共通し、「A」~「9」ハイボードで33%potなど少額CB比率を増やし、「8」~「5」のローボードでCheck比率と若干の100%potCBを増やすことで、ルースなBBにアジャストします。
また、この結果について補足します。
・「A」~「9」ハイのペアボードでは、「vsBB(標準)」の分析で触れたとおり、既にBTNは超高頻度少額CB戦略を採ることができていました。
そのため、今回の「vsBB(Loose)」分析では、「vsBB(標準)」との差分比較でCB比率がそれ以上に高くなる傾向は、明確に見受けられません。
・「4」ハイボードといった極端なローボードでは、いかにルースなBBでもヒットしているコンボは少ないことから、ペアボードと同様に、BTNのスターティングハンドの優位性がそのままポストフロップのエクイティに強い相関を持ちます。
結果として、極端なローボードにおいて、BTNのエクイティおよびCB頻度は、「vsBB(標準)」と比べて増加します。
ところで、今回の「vsBB(Loose)」分析結果は、「ハイカードが落ちたフロップで強気に攻めて、ローカードで固まったフロップは保守的にすることでアジャストする」というものでした。
この結果は、実は「vsBB(Tight)」の記事とほぼ正反対の結果になります。
「BTNvsBB(2betpot)」モデルにおいて、わざわざ「vsBB(標準)」「vsBB(Tight)」「vsBB(Loose)」の3パターンを分析した目的は、「標準的なプレイングを基準にしたアジャストの方向性」を調べることにあります。
つまり、3パターンのBBに対するGTO結果の点を線で結べば、その線の間にいる「ちょっとタイトな相手」や、延長線上にいる「かなりルース相手」に対して、「どの程度BTNがエクスプロイトすべきか」の推定ができるのではないか、ということです。
ということで、次回は「vsBB(標準)」「vsBB(Tight)」「vsBB(Loose)」の3パターンにおいて、ボードストラクチャーごとのエクイティおよび最適戦略に対する影響を分析します。