②「K」・「Q」ハイボードにおけるCBの体系化について
前回までのあらすじ:
「K」ハイボードと「Q」ハイボードでは、33%Betのように、小さいBet額が好まれるようです。
もし、BTNが全てのハンドで33%Betをした場合、EV_LOSSは許容できる範囲に収まるでしょうか。
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●「K」・「Q」ハイボードにおける疑似戦略について
前回の記事では、最適戦略(pot100%Bet,70%,33%,Check)が33%BetorCheck戦略によって代替できることがわかりました。
この33%BetorCheck戦略について、より簡単な体系化ができないか試してみます。
①BTNが全てのハンドで33%CBを打つ場合
最適戦略と比較したEV_LOSSは、以下のようになりました。
添付した画像は112個の「K」・「Q」ハイボードの一部ですが、平均EV_LOSSは▲13.57となりました。(許容範囲▲55)
5.500のpotにおける最適戦略に対して▲0.013の平均EV_LOSSですから、どうやら十分に戦えそうです。
とはいえ、画像下部のように、一部のボードでは「CB打ちすぎ」によるEV損失が発生しており、この戦略には改善の余地がありそうです。
(具体的には、[Ks9h7c]や[Kc8h7d]といった、「K」・「Q」の他にミドルカードが2つ落ちた一部のボードでは、他の「K」・「Q」ハイボードに比べてBB側のエクイティが上昇しているため、33%potの100%CBでは、過剰に打ちすぎているようです。)
ということで、2つ目の戦略を試してみます。
②BTNが全てのハンドで25%CBを打つ場合
これまでの集合分析により、「CB額が小さい時ほど適正CB率が上がる」傾向がわかっています。
最も簡単な疑似GTO戦略の体系化として「100%Bet戦略」を採択するうえで、逆説的に、CB額を33%から25%へ小さくし、同様にEV_LOSSを計算してみます。
改めて最適戦略と比較したEV_LOSSは、以下のようになりました。
いつものことですが、もう数字が小さくてよくわかんないですね。
先の33%pot100%CBの結果とまとめて、以下に図にしてみました。
●まとめ
①「K」ハイボード、②「Q」ハイボードおよび総計の3つにおいて、平均EV_LOSS等を下図のとおり集計しました。
計112の「K」・「Q」ハイボードについて、以下の3つの戦略を分析しています。
1.Bet額を33%potに固定し、全てのハンドでCBを打つ。
2.Bet額を25%potに固定し、全てのハンドでCBを打つ。
3.Bet額を70%potに固定し、GTOの最適頻度(CB率49.3%)でCBを打つ。(参考)
(EV_LOSSや▲55以上のボード数を比較するため、参考として、戦略3.を追加しています。)
3つの戦略の分析結果としては、上図のとおり、平均EV_LOSSおよび▲55以上のボード数のいずれにおいても、戦略2.25%pot100%CBが最も乖離が少ないようです。
また、驚いたことに、戦略2.25%pot100%CBは、112のボードのうち109のボードにおいてEV_LOSSが▲55未満に収まっています。
この水準であれば、疑似戦略の体系化が成されているといっても良さそうです。
加えて、戦略1・2と戦略3を比較したところ、興味深いことがわかります。
平均EV_LOSSを基に戦略の良し悪しを判断した時、Bet額を70%potに決定した場合、仮にGTOによる最適なハンドと頻度でCBを打ったとしても、単細胞33%Betマンや脳筋25%Betマンには適わないということです。
結論として、BTNvsBBにおける「K」・「Q」ハイボードでは、 Bet額を25%potに固定し、全てのハンドでCBを打つことで、疑似GTO戦略を採ることができそうです。
以上が、「K」・「Q」ハイボードにおけるCBの体系化になります。
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GTOの分析結果では以上のような結論になりましたが、素朴な疑問として、そもそも25%potとかいうやたら小さいCBは何を目的としているんでしょうか。BBの「は?」という反応が浮かぶようです。
次回は、個別のボード例を取り上げることで、この25%potのCBに対するBB側の対抗レンジを分析し、この結論の補足をしようと思います。