ポーカーGTO戦略のまとめ

GTO+でポーカー戦略を考えるブログ。Twitter:@NENDERS_Poker

②ペアボードにおけるCBの体系化について

前回までのあらすじ:

BTNvsBBの2bet potにおける32種類のペアボードにおいて、BTNからのCBについて、GTO戦略(Bet60%,Bet33%,Check)によるEV値を求めました。

このEV値と大きく乖離が無い簡単な戦略を探し、「疑似GTO戦略」として体系化してみます。

 

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ところで、赤本の「フィルゴードンのデジタルポーカー」では、ポーカーにおけるアクションの散らせ方について、腕時計を使った方法を紹介しています。

「自分のアクションを考えている間に、自分の腕時計に目をやる。で、その秒針が1から45秒の間ならタイトで素直にプレイする。もし秒針が46から60秒の間なら、類人猿流で行くのだ。(同本引用)」

ライブポーカーで腕時計を見てアクションを決める姿は、おそらくそれだけで「ポーカー知っている感」が出て凄く強そうです。是非やりましょう。

 

 

さて、まずはペアボードの主要素を分類したうえで、最適なGTO戦略におけるCheck比率が低い順(CB率が高い順)にボードを並び替えました。

 

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2列目の「ペア」と3列目の「シングル」によって、ペアボードの要素を分解しています。また、4列目の「スート」を挿入しています。

前回も触れていますが、ペアボードにおけるCheck比率は、平均値では25.3%と低いものの、ボードによって大きな差があることがわかります。

 

上記のボードに対して、これから、試行的に何かしらのルールに基づいた「疑似GTO戦略」を策定します。この疑似戦略によるEV値が、GTO戦略によってもたらされる「最適EV(図表F列)」と乖離が小さければ、ひとまず体系化といえそうです。

 

 

※BTNの2.5(bb)オープンを想定しており、BBのコールによってPotは5.5(bb)としています。GTO+のTarget dEVは0.5%(誤差0.0275(bb))に設定しています。

また、ここでは、「乖離が小さいこと」の定義について、「GTO戦略による最適EV(図表F列)から、EV値が「0.055」未満の乖離(5.5(bb)Potの1%未満の乖離)になること」としました。

このEV値の目安については、例えば[Qc4s4d]のボードについて、33%Betの代わりに100%Betを使用した場合、およそ「0.150」のEVが失われます。(→過去記事等をご参照ください。)

 

 

1.全てのペアボードに対して、33%Bet100%打つ。

 

上記のペアボードにおいて、自分の持っているハンドに関係無く、33%Betを100%打つ戦略です。

この戦略によって得られるEV値から、GTO戦略による最適EV値を差し引いた値を「EV_LOSS」としています。この「EV_LOSS」について、上記注釈の「55」より小さければ、GTO戦略とほぼ同程度の期待値とみなして差し支えないといえそうです。

 

結果は、以下のとおりになりました。

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一番右の赤い列が、最適EV値と全て33%Betを100%打った時のEV値における乖離値です。

驚いたことに、32のうち24のボードについては、33%Betの100%のCBによって、最適EVとほぼ変わらないEV値を得ることができます。

※一部「EV_LOSS」が正となっている部分は、dEVによる測定誤差の範囲といえそうです。

 

考察してみれば、上図の大半のペアボードでは、元々GTO戦略における60%BetCheck比率が低かったため、60%BetCheckの選択肢を失くしたところで、EV値に与える影響度はかなり小さいものだったといえます。

よって、これらの24のボードについては、自分のハンドにかかわらず、33%Betを100%打つことで「疑似GTO戦略を取る」ことが可能です。 

 

一方で、赤い枠で囲われたボードに関しては、「EV_LOSS」の乖離値が大きく、許容範囲外になっているため、どうやら戦略の修正が必要になりそうです。

この赤枠内のボードは、他の24のボードと比べて、何が違うのでしょうか。

先ほど分類した「ペア」や「シングル」を見ていくと、どうやら特徴としては、「ボードのペアがミドルカード(5~9)であること」が挙げられます。

 

つまり、BTNのオープンレンジに対して、BB側のコールレンジにはミドルカード(5~9)が相対的に多く存在しているため、BB側のハンドレンジにトリップスとなるコンボが多いことが、先ほどの乖離値が大きくなる原因といえそうです。

 

確認すると、上記32のボードにおいて、これらの「ミドルカード(5~9)」によるペアを除いた「ローorハイカードのペア(2~4、T~A)」については、先ほどの33%Betを100%打つ戦略によって、EV値は全て許容範囲に収まっています。

 

 よって、ペアボードを「①ローorハイカードのペア(2~4、T~A)」と「②ミドルカードのペア(5~9)」に分類すると、前者においては、33%Betを100%打つ戦略が有効といえます。

 

 これらを簡単にまとめたところ、体系化の現状としては、こんな具合になりました。

 

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ペアボードの中においても、「ボードのペアがミドルカード」の場合には、33%Betを100%打つ戦略は有効とはいえないようです。

これらのボードに対しては、なにか別の戦略を用意しなければなりません。

 

次回は、後者の「②ミドルカードのペア(5~9)」における戦略について、調べてみます。